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ジョブホッパーとは?一流企業ほど高く買う理由

大企業で肩書き美人のジョブホッパーが大量発生する理由とは?

僕は中学生の頃から、人に評価されることによって生じる、評価の不公平性が嫌いでした。それが社会人になっても、結局は利益に対する貢献や実績よりもゴマスリ上手が評価され、その方よりも安い給与をもらった時に、独立以外に心の平安が訪れないことを悟り、起業に至りました。

先に一行だけ置きます。ジョブホッパーとは、短い周期で転職を繰り返す人のことです。そして日本のDX・UX業界では、彼らほどハイクラス転職を実現しています。

自己紹介をすると、僕は株式会社ARCHECOという15人規模、売上高7億円程度のコンサルファームの創業者です。UXデザインやDXコンサルをやっている会社で、先述の経験から、ボードメンバーとは均等に利益を配分し、社員は売り上げと給与が比例するような給与制度にしていて、給与を上げるのは自分次第という給与体系を徹底して築いてきました。結果として、新入社員ですら創業者も社長も敬わない企業文化が形成されてしまった、居心地の悪いようで良い、独特な会社です。

今日は、そんな会社を経営する中で、辞めていった社員個人のミクロな動向から見えてきた、UX/DX業界の闇を話していこうと思います。

前置きはさておき、本題に入ります。

① 新しい分野では、人を肩書きでしか採れない

① 新しい分野では、人を肩書きでしか採れない

まず、業界の闇を語る前に、ミクロな話をします。僕の会社は、成果を出して売り上げる人にとっては、居心地の良い会社です。稼いだ額が目標の内部留保に達すると、全て社員に還元されるので、フリーランスでやるよりも、ブランド力のある会社でやるよりも、よっぽど給与をもらうことができます。

では、どういう人が辞めていくかというと、稼げない人か、自分の働き以上に給与が欲しい人です。この人たちの次のキャリアは、外資系コンサルか、大手のITやSI企業と、決まってハイクラス転職を実現しています。

なぜハイクラス転職できるのかというと、UXやDXは新しい分野なので、企業に育成するフレームがなく、優秀な人材を自前で育てることができません。外から人材を連れてくるしかないのですが、この時に、連れてくる人材を評価もできないので、職種や経験ベースで採用します。でも、このときに語られる経験なんて、当てになりません。

人間力の優秀さは度外視されるため、肩書きでジョブホップする人に狙い撃ちされます。その結果、「肩書きだけ美人」が一流企業に溢れてしまいます。そして、その一流企業に在籍した実績が、より一層、これらの人たちの肩書きを美化します。

② 「肩書きだけ美人」が、DX推進とUXデザイン部を停滞させる

② 「肩書きだけ美人」が、DX推進とUXデザイン部を停滞させる

その結果どうなるかというと、大企業や外資系コンサルの、DX推進やUXデザイン部のレベルが低迷します。結局、肩書きだけ美人には、実力がないからです。

実力があれば、自分の利益を独占したくなるものです。そうすると、独立系ベンチャーかフリーランスになります。権威ある会社に所属したくなるのは、個人ではできない大きいことをやりたいか、自分の売上に関わらず高い給与が欲しいかです。個人ではできない大きなことは、実力さえあれば、独立系ベンチャーやフリーランスでも、プロジェクトベースで十分に引き合いがあります。なので、結局、実力以上の給与を求める人が集まりがちです。

これらの人たちは、売り手市場の環境において、世間的な期待値は高いので、社内でも肝入りのプロジェクトをサポートさせられますが、関与はするけど、貢献はできません。

この時に、実力のないDX推進やUXデザイン部の彼らがどう振る舞うかというと、何かを「統括」する動きになりがちです。この統括とか推進という部署は、実際にビジネスをやっている事業部に首を突っ込んで監修するけど、何も成果を生まない、でも事業の売上に対しては責任を持たない部署です。

彼らは、そもそものゴール設定を、社内の事業部にUXやDXプロセスをインストールできたか、という歪んだゴールに設定します。ここまでできれば、成功も失敗もない、心地よいぬるま湯の完成です。こんなことをやってしまっては、その会社のUXデザインやDXは、無価値なものになってしまいます。しかし、ジョブホッパーたちにとっては、新しいピカピカで希薄な経験を得られたので、これで十分です。

③ 実は、UXデザイナーは3ヶ月で育つ

③ 実は、UXデザイナーは3ヶ月で育つ

では、大企業・一流企業にとって未開の、UXデザイナーやDX人材は、本当に外部から連れてこなければ確保できないのでしょうか。

実態として、そこそこできるUXデザイナーを育てるには3ヶ月、DXコンサルは1〜2年あれば育ちます。これは、自信を持ってこう言えます。

ここからは、さらにミクロに社内事情を話すと、僕らの会社の場合は、ジョブホップされる前提で人を育成します。一流企業にアサインできるようになるまでに5年、10年費やしていたら、育成が完了する頃には、UXデザイナーやDX人材としての肩書をもとに、育成した分の利益を会社にもたらさずに、ジョブホッパーたちは辞めてしまいます。

なので、一流企業にアサインしても十分活躍できるようになるまで、圧倒的に短期間で育成して、ある程度利益を産めるようにして、3年目には辞めていくことを前提に、中途半端に育成します。僕が思うに、このような小規模の会社には、僕らと同じように、圧倒的なインスタント教育手法が確立されていると思います。

僕の会社では、5年以上いることが想定される人材には、このインスタント教育手法とは全く別で、上位0.1%を目指せるような教育手法と、途中で一流企業に引き抜かれないような、2〜3倍くらいの給与を支払っています。

つまり、一流企業が引き抜いているのは、インスタントUXデザイナーとインスタントDX人材ということになります。これらの人材であれば、あえて経験がある人を引き抜かなくても、実際には3ヶ月、または1〜2年あれば育成できるのです。

④ 一流の人材は、そもそも採用できない

④ 一流の人材は、そもそも採用できない

では、一流な人材を外部から獲得するには、どうしたら良いのでしょうか。

先述のように、一流の人材は、全く違う給与体系で働いているか、もしくは組織に所属せずに利益を独占しています。事実上、彼らが高い給与を提示されて企業に所属する確率は、とても低いように思います。どういうことかというと、彼らには、自分自身で稼げる額よりも、もっと稼げる給与プランを提示しなくてはなりません。それはつまり、企業は、外注した時よりも高い金額を提示しなければならないことを意味します。

結局、企業に所属した時点で自分の利益の還元率が減衰するのであれば、高いコミットを得ることができません。外注した時よりも高い金額を提示するのは、内製化した方が良いという意味合いの一側面としての、コストカットが破綻します。

また、もう一側面として考えられる、社内に知見を根付かせたいという側面も、おそらく難しいでしょう。なぜなら、一流であるということは、最前線にいるプレイヤーだから一流なのであって、教育者になるということは、その時点で、一年後には古い知見を持った人材になるからです。一流の水準はアップデートされ、社内育成に回った育成担当者は、二流になるのです。こうなることに危機感を持っている一流プレイヤーに、社内に知見を根付かせて欲しいという依頼は、受け入れられないと思います。

⑤ 直してみる:独立系ファームに、研修目的で人を預ける

⑤ 直してみる:独立系ファームに、研修目的で人を預ける

じゃあどうするかというと、ジョブホッパー対策として独立系が持っているインスタント教育プログラムを、一流企業が活用させてもらうことが一番です。

つまり、一流企業サイドから、独立系ファームに、人材を研修目的で派遣します。彼らの給与を大手企業が払っているのであれば、独立系ファームも、労働力の獲得や研修費が払われる限り、受け入れます。独立系ファームは、インスタントに大企業の人材を育成します。これで、生え抜きで事業にコミットするUX、DX人材を育成することができます。

実は簡単に育つのだから、教育すればいいという当たり前の発想ですが、ジョブホッパーたちによってレバレッジの効いた経験値は早々に手に入るものではない、という誤認識に至っているので、企業はこの選択肢が頭にありません。また、独立系ファームにとっても、インスタント教育プログラムは流出する前提なので、惜しむことなく教えてくれるでしょう。

採用によって手に入る専門性なんて、実は、たいしたことないんです。採用によって手にするのは、本来、その企業にとって人間としての魅力の高い人材であるべきです。専門性は、独立系ファームという便利な専門学校で、教育して貰えば良いのです。

そして、一流人材については、インスタント教育を経た生え抜きの人材が育つのを待てば良いですし、教育を担当した独立系ファームへ発注すれば良いです。外注と内製の共存が、結果的に、企業のUXデザイン・DX人材のレベルを最大限に高めます。

⑥ マクロに見る:ITガラパゴス化と、同じ動きをしている

⑥ マクロに見る:ITガラパゴス化と、同じ動きをしている

これらの事象を、マクロに考えてみようと思います。僕は、このUX、DX人材のジョブホッパーのムーブが、ドットコムバブルの崩壊や、ITガラパゴス化につながった動きのように感じています。

どういうことかというと、ITバブル到来により、IT人材が売り手市場で採用され、IT肩書き美人たちが日本の大手企業に高値で採用されていったけど、結局彼らは成果を出せずに、ジョブホッパー的IT人材の立ち位置を確立していきました。本来のIT化を推進する役割としてのスキルではなく、社内のエバンジェリスト的にITを広めるスキルだけが高まり、それが、実態のない「怪しいIT」のイメージを作ってしまいました。

僕自身、学生時代にITに興味を持っていることを周囲に知られると、「ギロッポンのIT社長を目指すの?」と揶揄された記憶があります。それくらい怪しいイメージを持たれていて、その結果、IT自体が怪しい投資対象となってしまい、日本のIT化が遅れたり、日本のIT人材のスキルが、社内エバンジェリスト活動のためのスキルに重点が置かれて、世界標準から外れてしまうという結果をもたらしました。

UXデザイナーやDX人材のスキルも、結構ガラパゴス化が進んでいて、日本においては、社内エバンジェリスト寄りな成長を遂げているように思います。

⑦ 解雇されない日本では、新陳代謝が働かない

⑦ 解雇されない日本では、新陳代謝が働かない

日本だけでなく、世界にも多くのジョブホッパーがいると思います。もちろん、肩書きだけ美人もたくさんいます。

でも、日本が特殊なのは、売り手市場の中で自分を高値で買ってもらった後に、企業から解雇されづらい点です。他国においても、同じように肩書きだけ美人は一定数掴まされながら、実績が出なければ、さっさと解雇されます。このあっさりとした解雇が、「肩書きだけ美人」の抑止力になったり、新陳代謝の役割を担っているのです。

なので、やはり日本では、インスタント人材は採用するのではなく育てる、一流人材は採用リスクがないように外部と連携する、が最適なのだと思います。UXデザインやDXという概念が、陳腐化しなければ良いなと切に願います。

今日は、ジョブホッパーのミクロな活動が日本の未来にもたらすマクロな影響を、気ままに語ってみました。

そう言えば、僕には4歳の娘がいるのですが、めちゃくちゃ統括体質で、自分で壊してしまったおもちゃを、「これ、直した方がいいんじゃない?」と言ってみたり、自分で散らかしたおもちゃも、「これ、ねんねの前に片付けたほうがいいんじゃない?」と言ってきます。

娘が、肩書き美人のジョブホッパーのように統括専門になってしまう日が来ないように、しっかりと自分で実行できるように教育していこうと思います。

以上です。

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アークチャンネルは、新規事業開発の実践者たちが好き勝手喋るVTRの内容を、スタートアップスタジオの先輩社員の神谷と、大学生インターンの五十嵐がゆるく、まじめに掘り下げていくトーク番組です。\n\n・大企業特有の「新規事業の闇」\n・スタートアップの人材採用や育成の舞台裏\n・AI時代ならではの企画ノウハウ\nなど、『そこまで言っていいんかい!』な新規事業のリアルに切り込みます。

よくある質問

  • ジョブホッパーとは何ですか?

    ジョブホッパーとは、短い周期で転職を繰り返す人のことです。一般には敬遠されると思われがちですが、日本のDX・UX業界では逆で、彼らほど外資系コンサルや大手IT企業へのハイクラス転職を実現しています。

  • なぜ実力のない人材が一流企業に高く採用されるのですか?

    UXやDXは新しい分野で、企業側に育成のフレームも評価の物差しも無いからです。外から連れてくるしかなく、評価できないので職種や経験という肩書きで採用します。その結果、肩書きでジョブホップする人に狙い撃ちされ、一流企業に在籍した実績がさらに肩書きを美化します。

  • UXデザイナーやDX人材の育成には、どれくらいかかりますか?

    そこそこできるUXデザイナーは3ヶ月、DXコンサルは1〜2年で育ちます。一流企業が高値で引き抜いているのは、独立系ファームが短期間で育てたインスタント人材です。5年10年かけて育てようとすると、完了する前に肩書きを持って辞められます。

  • 一流のUX・DX人材を採用することはできますか?

    ほぼできません。一流は自分で利益を独占できるため、企業は外注するより高い給与を提示する必要があり、内製化によるコストカットの前提が崩れます。社内に知見を残したいという狙いも、教育者に回った時点で知見が古びるため、当人が受け入れません。

  • では、DX・UX人材はどう確保するのが最適ですか?

    育てる人材と外注する人材を分けることです。自社の人材を独立系ファームへ研修目的で預けてインスタント教育を受けさせ、生え抜きとして育てます。一流の仕事は、その教育を担当したファームに外注します。採用で手に入れるべきは専門性ではなく、人としての魅力です。