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2025.7.16.WED

新規事業の立ち上げ方|半年で評価が固まる

本気の新規事業担当が最初の半年を生き延びる社内ハックとは?

大企業で新規事業の担当になったとき、めちゃくちゃ困らないですか。上からミッションが降ってくるパターンや、新規事業プログラムで自分の企画を作っていくパターンなど、いろいろあると思います。

先に一行だけ置きます。新規事業の立ち上げで最初にやるべきことは、半年を生き延びる形を作ることです。多くの新規事業企画は、半年以内に消えてしまいます。

僕は日立やKDDIのようなレガシー企業、LINEのようなメガベンチャーを経験して、その後、国内外で起業してきました。現在は大企業と共創という形でインキュベーション事業を展開しています。

今日は、大企業で新規事業担当者になったときの、半年の動き方について話していこうと思います。

前置きはさておき、本題に入ります。

① 一番つらかったのは、企画ごと飛んだときだった

① 一番つらかったのは、企画ごと飛んだときだった

KDDIやLINEのように事業範囲が広い企業にいたので、既存部門からの横やりや、利害対立でプロジェクトが飛びそうになるケースは、めちゃくちゃありました。

一番つらかったのは、韓国のNAVERとの対立によって、LINE Payの企画自体が頓挫したときです。

さまざまな利害や思いがうごめく大企業で新規事業を立ち上げるときは、半年で適切な動き方をしないと、たいてい頓挫します。

② タイムリミットは半年。信用にもバーンレートがある

② タイムリミットは半年。信用にもバーンレートがある

スタートアップには、資金が枯渇するまでの期間、バーンレートという考え方があります。大企業でも同じように、生存可能な時間を見積もらないといけません。

半年ぐらい経過してくると、役員や周りの評価が固まります。そして、前に進めるための資金や、人が供給されなくなります。そうすると袋小路です。企画書のアップデートもままならず、検証も進まず、あいつ何やってんだ、という空気になって検討がストップする。これが一般的なパターンです。

③ ポイントは、いかに「やってる感」を出すか

③ ポイントは、いかに「やってる感」を出すか

ここからが本題です。ポイントは、いかにやっている感を出すかどうかです。

やってる感、と聞くと、中身のない演出の話に聞こえるかもしれません。実際、僕もそう受け取られることは分かっています。ただ、これは演出ではなく戦術です。新規事業を止めさせないための、実務的な手段だと思ってください。

最初はみんな素人です。いくら専門知識があっても、新規事業を立ち上げるとなると不確定な点や不明な点が多数出てきて、突っ込みどころ満載の素人状態になります。

でも、やってる感を出して第一人者になっていくと、周りは「もったいないな」という気持ちになっていきます。素人の案は気軽に潰せますが、第一人者の案は潰すのがもったいなくなるからです。

もっと重要なのは、第一人者になると、社内で活動するための資金が出てくることです。その資金で仲間を増やしていきます。その仲間がレバレッジとなって、活動が大きくなっていきます。逆説的ですが、ガチるために、やってる感を演出するのです。

④ 「やってる感」の正体は、フィードバックの種類と量

④ 「やってる感」の正体は、フィードバックの種類と量

では、新規事業の推進を止めさせず、逆にさまざまな協力者が広がっていくレバレッジになる「やってる感」とは、何なのか。

ズバリ、フィードバックの種類と量です。

役員、上司、関係部署にとどまらず、外部のフィードバックを得ることが重要です。狙っている市場の競合、経験者、ユーザー候補。とにかく社内社外、特に競合、パートナー、ユーザーのフィードバックをいかに受けて、多様な声を記録としてPRしていくかです。

⑤ 形がないと、的外れな指摘に時間を溶かす

⑤ 形がないと、的外れな指摘に時間を溶かす

やってる感は、まず目に見える形にすることから作ります。モックアップでも、サイトでも、動画でも、SNSの立ち上げでも、何でもいいです。

形になっていないときは解釈の余地があるので、前提が共有されていない状態で、ああだこうだと指摘が入ってきます。そういう声は、たいてい的外れです。そもそも意味が分からないものになりがちです。

たとえば、メルカリがリリースされる前に大企業でメルカリを企画したとしても、企画書だけで説明すれば、ヤフーオークションとどう違うのか、フリルとどう違うのか、さらには楽天とどう違うのか、という声が出てくるでしょう。

役員に違いの説明を求められたとき、説明できますか。たぶんできないと思います。役員はおそらくあなたの案にそれほど興味がなく、時間もないので、説明時間は15分あったらいいところです。15分で、まったくモチベーションのない素人に企画を説明して説得する自信はありますか。難しいと思います。

⑥ 1ヶ月目 — 企画書を10ページ作って、ぶつける

⑥ 1ヶ月目 — 企画書を10ページ作って、ぶつける

ここから、半年間の目安となるステップを話します。

まず1ヶ月目。どのようなクオリティでもいいので、企画書を10ページ作ります。スポットコンサルのサービス、お金がなければXやFacebook、関連業界のイベントや勉強会で、企画書をぶつけてフィードバックをもらいます。

もらった内容をそのまま反映してもいいので、企画書をアップデートすることが重要です。できれば「起業する」と言って、エンジェルラウンド専門のVCの担当者に、Xやホームページから壁打ちを依頼して、企画書のフィードバックをもらうのがすごくいいと思います。

⑦ 2ヶ月目 — 資金がなくても、共創会社に会いに行く

⑦ 2ヶ月目 — 資金がなくても、共創会社に会いに行く

2ヶ月目です。アップデート済みの企画書を持って、共創系のインキュベーション会社やコンサル会社にアクセスしてみてください。資金がなくても、です。

自身が第一人者で、やってる感が出ていた場合、たいてい形にするのを手伝ってくれます。もしかしたら、無償でモックアップを作ってくれるかもしれません。もちろんお金があれば、早く、クオリティの高いものが出てきやすくなります。

⑧ 3ヶ月目 — 資金を取りに行き、待ち時間も使う

⑧ 3ヶ月目 — 資金を取りに行き、待ち時間も使う

3ヶ月目で、正式に上長や役員にアプローチしてみてください。ここでのフィードバックは、いったんスルーしてもいいです。とにかく活動資金を確保することが重要です。

活動資金の決裁には数週間かかると思うので、その間、モックアップを持ってパートナー企業やユーザー候補にアプローチしてみてください。そこでの声によって、第一人者の地位を固めることができます。

⑨ 4〜5ヶ月目 — お金を取るMVPを作る

⑨ 4〜5ヶ月目 — お金を取るMVPを作る

4ヶ月目と5ヶ月目です。確保した活動資金で、Shopifyのような簡易ECやSNSを立ち上げて、お金を取るMVPを作ってください。

MVPによって、お金を得た実績を作ります。

⑩ 6ヶ月目 — 実績を持って、初めて関連部署へ

⑩ 6ヶ月目 — 実績を持って、初めて関連部署へ

6ヶ月目です。MVPによって得た実績を持って、ここで初めて関連部署にアプローチしてみてください。

ここまで来ると、もう進んでいる状態なので、横やりを入れるのは相当ハートが強い人しかできません。傍観者か、協力者になってくれるでしょう。

それ以降は、自分が考えるやり方で新規事業を進めてください。ここまでが重要で、あとは自分なりにやっていくのが大事だと思います。このように進めれば、嘘みたいにスムーズに新規事業を進めることができるはずです。

⑪ この順番には、意味がある

⑪ この順番には、意味がある

6ヶ月のステップを並べましたが、順番そのものにも意図があります。

1ヶ月目に社外へ出るのは、社内で説明できる材料が何も無いからです。ここで上司に持っていっても、素人の企画として気軽に潰されます。逆に、外のフィードバックを浴びた企画書は、それだけで密度が変わります。

3ヶ月目まで役員に行かないのも同じ理由です。役員に会えるのは実質15分で、しかも一度潰された企画を持ち直すのは、最初に通すよりずっと難しい。だから、勝てる状態を作ってから会いに行きます。

6ヶ月目まで関連部署に行かないのは、横やりを防ぐためです。企画の段階なら、部署の論理でいくらでも止められます。売上の実績がある状態なら、止める側にも理由が要ります。

つまり、フィードバックが増えると関係者の関心が途切れにくくなり、形があると「もったいない」という心理が働いて、プロジェクトが潰れにくくなります。やってる感を出す、フィードバックが増える、形になる、そしてやってる感が本物になる。このループを回していきます。

⑫ この考え方が効き続ける理由

⑫ この考え方が効き続ける理由

半年で評価が固まるタイムリミットを意識してください。半年が経過すると、役員や上司の評価が固定化し、資金や人の供給が止まります。最初の6ヶ月で、動いている価値があると認識されないと終わります。

やってる感を演出することで、第一人者になってください。第一人者になると、もったいないという心理が働いて、事業が潰されにくくなります。資金調達や仲間集めも加速します。

目に見える形を作り、フィードバックを最大化してください。モックアップ、サイト、SNS発信、トライアル。とにかく形にすることで、説得力が増します。社内外のフィードバックを集めて、競合やパートナーの意見を取り入れることで、プロジェクトの存在感を高めることができます。

以上です。

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アークチャンネルは、新規事業開発の実践者たちが好き勝手喋るVTRの内容を、スタートアップスタジオの先輩社員の神谷と、大学生インターンの五十嵐がゆるく、まじめに掘り下げていくトーク番組です。\n\n・大企業特有の「新規事業の闇」\n・スタートアップの人材採用や育成の舞台裏\n・AI時代ならではの企画ノウハウ\nなど、『そこまで言っていいんかい!』な新規事業のリアルに切り込みます。

よくある質問

  • 新規事業の立ち上げで、最初にやるべきことは何ですか?

    最初の半年を生き延びる形を作ることです。多くの新規事業企画は半年以内に消えます。半年を過ぎると役員や周りの評価が固まり、前に進めるための資金も人も供給されなくなって袋小路に入ります。

  • なぜ最初の半年が重要なのですか?

    スタートアップに資金が尽きるまでの期間(バーンレート)があるように、大企業にも生存可能な時間があるからです。しかも尽きるのは資金ではなく社内の信用です。「あいつ何やってんだ」という空気になった時点で検討は止まります。

  • 「やってる感」を出すのは、ただの演出ではないのですか?

    演出ではなく戦術です。素人の案は気軽に潰せますが、第一人者の案は潰すのがもったいなくなります。さらに第一人者になると社内で活動する資金が出て、その資金で仲間が増え、活動が大きくなります。ガチるために、やってる感を出します。

  • 「やってる感」は、具体的に何を指すのですか?

    フィードバックの種類と量です。役員や上司、関係部署にとどまらず、狙っている市場の競合、経験者、ユーザー候補といった社外の声をどれだけ受けて、記録としてPRできるかで決まります。

  • 半年間は、どういう順番で動けばいいですか?

    1ヶ月目に企画書を10ページ作って社外にぶつけ、2ヶ月目に資金がなくても共創系の会社へ相談し、3ヶ月目に役員へ行って活動資金を取ります。4〜5ヶ月目にお金を取るMVPを作り、6ヶ月目に実績を持って初めて関連部署へ行きます。ここまで来ると横やりを入れる人はほぼいません。